クライオポンプ 安全対策

クライオポンプの安全対策について

本製品には、製品自体の取り扱いを間違えると起こりうる危険と、使用される装置などによって起こりうる危険があります。
図に示すような項目の安全対策をおこたれば、人体に傷害を負ったり、または死亡に至るおそれがあります。また、装置や設備などにも損壊のおそれがでてきます。日頃から安全対策には十分な配慮を心掛けてください。
また、上記に記載している項目以外にも、本製品は、取り付けるシステムの構成、またはプロセスによって、危険が異なります。
これらの危険について、すべての状況を予測することはできません。取扱説明書に「できる」と記載していること以外は、全て「できない」と考えてください。

1.作業を行う前に

警告!

本製品の据え付け、操作、またはメンテナンスなどを行う際には、必ず取扱説明書をよく読み、その内容を理解して、安全には、十分な注意を払わなければなりません。 取扱説明書に記載している内容に従わない場合は、傷害を負ったり、または死亡につながるおそれがあります。また、装置や設備などの損壊、災害の発生にもつながるおそれがあります。
本製品は、使用される装置などにより用途が異なります。
必ず、システム全体に対する知識を持ち、内容を理解している方が本製品の据え付け、操作、またはメンテナンスなどを行ってください。
また、取扱説明書をよく読み、理解してから、これらの作業を行ってください。特に、取扱説明書中の危険、警告、または注意の説明、本製品に貼り付けてある警告および注意ラベルの内容は、危険防止のうえで非常に重要な内容を記載していますので、注意深く読んで、その内容を十分に理解して下さい。
取扱説明書や警告および注意ラベルの表記に従わない場合は、傷害事故や死亡事故が発生したり、装置や設備などに損壊、災警などのおそれがあります。

危険!

システムの構成、または、本製品に対しての知識を持たずに不適当、または不用意に装置を据え付けたり、操作、またはメンテナンスなどを行うことは非常に危険です。絶対に行わないでください。
極低温冷凍機を使用する前に必ずリークチェックを行ってください。
万一、事故が発生した場合を想定して、早急に有効な対応ができるような態勢を整えておいてください。
また、非常時に対応できるように、有効な保護具の準備を行い、日頃から装置訓練とメンテナンスを実施してください。

2.化学的危険について

腐食性物質の危険について

本製品が. 腐食性物質を吸引、または付着すると腐食が起き、破損するおそれがあります。
また本製品には、高圧ガスを使用しているため、腐食部分に高圧がかかると破裂を起こすおそれがあり、非常に危険です。

危険!

本製品を取り付けている装置のプロセスなどで、使用するガスまたは生成される反応生成物が腐食性物質の場合は、必ず、事前に弊社までご相談ください。
極低温冷凍畿のシリンダはステンレス鋼と、銅で構成されています。
これらの材質を腐食するガスを排気する場合は特にご注意ください。
(プラズマ反応、イオン注入などにより真空槽内部で腐食性ガスが生成される場合もあります。)
極低温冷凍機内のヘリウム(He) の圧力は2.0-2.5MPaでありシリンダの腐食が進行すると、弱い部分で破裂する危険性があります。
ここであげた物質以外にも用途、プロセスによってご使用になる物質は数多くあります。 ご使用になる物質または反応生成物の性質を十分に理解し、本製品の据え付け、操作またはメンテナンスなどを行ってください。

圧力計の例

写真:圧力計の例

3.油回転ポンプを用いて真空引き作業時の注意

可燃性ガスを使用した後、ロータリーポンプを用いて真空引き作業を行う場合、ロータリーポンプ内で可燃性ガスが圧縮され、燃焼、爆発するおそれがあります。また、可燃性ガスと空気がロータリーポンプの排気口、あるいは排気ダクト内で混合し、引火の原因があるときも燃焼、爆発のおそれがあります。

危険!

真空引き作業を行う場合、ロータリーポンプを用いて可燃性ガスを排気するときは、不活性ガスを導入し、十分希釈してください。
真空引き作業を行う場合、排気を行うシステム全体に窒素(N2)ガスなどの不活性ガスを導入して可燃性ガスの濃度がシステム内全てにおいて燃焼・爆発範囲の下限未満になるようにしてください。
極低温冷凍機が20K以下の状態で、ロータリーポンプを使用すると、冷凍機が油に汚染されるオイルバックという現象が発生します。20K以下では、ロータリーポンプを止めるか、ターボ分子ポンプ等のオイルパックの起こらないポンプを使用してください。

クライオポンプと付属装置

4.電気的危険

電気的危険として、極低温冷凍機に電源が供給されているときに、電圧の負荷、電流が流れている部分の接触、漏電による感電、火傷をするおそれがあります。

電圧、電流の危険

危険!

電気配線を行う場合は、有資絡者以外の方は行わないようにしてください。
据え付け、またはメンテナンスなどを行う場合は、必ず、運転スイッチを[OFF]にし、メインブレーカーを切って行ってください。
表示された電源電圧以外の電圧で使用しないでください。
火災、感電、または本製品が故障するおそれがあります。
本製品、または取り付けている装置に濡れた手などで端子部、電源プラグ、エキスパンダ連絡配線用コネクタなど電源が供給されている部分に触れないでください。感電、火傷、または本製品が故障するおそれがあります。
冷却水が水漏れなどで電気系統に流れ込んだ場合には、直ちに電源を切り、水分が完全になくなるまで十分抜き取ってください。
圧縮機ユニットの各パネル(外板)を取り外す場合は、必ず運転スイッチを[OFF]にし、メインプレーカーを切ってから行ってください。また、指定以外のパネル(外板)を外さないでください。感電、火傷、または本装置が故障するおそれがあります。

漏電の危険

危険!

過電流保護装置(液晶表示∧安全装置作動表示灯の点灯)が作動した場合、メインプレーカーが切れた場合、またはフューズの溶断が発生した場合には、漏電の可能性があります。
本製品に供給している電源を遮断し、原因を究明してください。漏電によって感電、火傷のおそれがあります。
漏電防止のため、メインプレーカーには、漏電ブレーカーを取り付けることをお奨めします。

運転スイッチの例

写真:運転スイッチの例

主電源ブレーカー

写真:主電源ブレーカーの例

高電圧警告表示

写真:高電圧警告表示の例

5.高圧ガスの危険

極低温冷凍機は、極低温を生成するために、圧縮機ユニットから高圧ヘリウムガスが供給されています。

警告!

本製品には、高圧ガスを使用しています。連絡ホースを踏んだり、取扱説明書に記載していない個所を分解しないでください。
また、運転中は分解しないでください。
連続ホースの取り外しは、圧縮機ユニットが停止し、極低温冷凍機が室温であるときのみ行ってください。
止むを得ず室温に戻る前に、ホースを取り外す必要がある場合には、サービス担当会社にご連絡ください。

ヘリウムガス表示

写真:ヘリウムガス表示の例

熱の危険

危険!

本製品では、昇温の際にホットN2あるいはヒーターを使用する場合があります。また運転中はもちろんの事、停止後数時間は、極低温が維持されているので、圧縮後ユニットのパネル(外板)を取り外したり、極低温冷凍機に触れたりしないでください。火傷、凍傷を負うおそれがあります。
また、メンテナンスを行うときは、部位の温度が、室温程度になるまで作業をしないでください。

その他の注意

冷却水の不足、断水、漏水

注意!

冷却水を止める場合は、冷却部の温度が下がったことを確認してから行ってください。
また、冷却水の水量を基準値以上で使用すると、配管内のエロージョンが発生し、穴あきが生じるおそれがあります。
冷却水の水量は必ず基準値(仕様参照)になるようにしてください。
定期的に冷却水の水量、水質および水漏れの有無を確認してください。

6.各ユニットごとの注意事項

ここでは、各ユニットに対しての注意事項について説明しています。

極低温冷凍機内部、真空系、配管に対する注意事項

極低温冷凍機内部、真空引き、排気配管、0リングなどガスが通過する部分は、そのガスの性質によって化学的危険のおそれがあります。

警告!

装置に接続した配管、冷却水配管は、必ず定期的なリークチェックを行い、事前に漏れが起きないように防止することが必要です。
メンテナンスにおいて、0リング、ガスケットが確実に取り付けてあるか確認してください。
0リング、ガスケット、あるいは配管接続部分にゴミや傷、変形がないか確認してください。
0リング、ガスケット、あるいは配管接続部分を清掃する場合、膨潤や変形、または腐食などを起こす薬液・溶剤などは使用しないでください。

極低温冷凍機の停止後昇温時の注意事項

警告!

極低温冷凍機は、ガスや反応生成物を極低温吸着し、蓄積しています。
昇温作業など、極低温冷凍機内の温度が上昇すると凝縮、吸着していたガスが膨張し、高圧ガスになる場合があります。
十分なパージ、排気を行ってください。
十分なパージ、排気を行わずにメンテナンスなどを行うと、ガスの毒性、燃焼性以外に高圧による部品の飛散での傷害を負う可能性があります。
極低温の状態で、Heホースを取り外さないでください。極低温冷凍機内部のHeガスが温度上昇し、圧力が上昇すると、冷凍機が破壊する恐れがあります。

警告表示例

写真:警告表示例